壺齋散人の 美術批評 |
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ディエゴ・デ・アセード:ベラスケスの世界 |
ベラスケスはフラガ滞在中に、矮人の肖像画も制作した。王自らそれをベラスケスに命じたようである。というのも、絵の完成後に、マドリードに発送するための木箱の調達を臣下に命じているからである。おそらく王気に入りの、道化役の矮人だったのだろう。 その矮人を王は、エル・プリーモと呼んでいる。エル・プリーモというスペイン語は従兄弟を意味する言葉だ、王と矮人とが親密な間柄だったことを物語るようだ。 矮人の本名はディエゴ・デ・アセードという。従来は「セバスティアン・デ・モーラ」とされてきたが、近年の研究で、実際の名前が明らかになった。 モデルは、鋭い目つきでこちら側を見据え、厳粛な雰囲気をたたえている。道化としての境遇とは正反対の表情は、きわめて力強い。くすんではいるが、グリーンとオレンジという補色の組合せで、渋い中にもコントラストを強調することで、絵に勢いを与えている。 (1644年 カンバスに油彩 106.5×81.5㎝ マドリード、プラド美術館) |
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