壺齋散人の 美術批評
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自画像:ゴッホの自画像22




1889年5月、ゴッホは自分の判断で、アルルの北にあるサン・レミの精神病院に入院した。カトリック系の精神病療養施設だったという。入院後初めの頃は外出を許されなかったが、6月からは外で写生することが許されるようになった。だから、ゴッホは入院中もせっせと創作に励むことが出来た。

弟テオにあてた1889年9月6日付の手紙の中で、ゴッホは2枚の自画像について触れている。ここにある作品と、次に紹介する作品である。

この作品についてゴッホは、「病床から起き上がった時に書き始めた。その時には痩せ細って悪魔のように青白く、白っぽい額に黄色の髪が暗い背景とコントラストをなしている」と表現している。

この手紙を書いている時点ではまだ完成していなかったようだから、この絵は数か月がかりで描かれたのだと思われる。

ゴッホ自身がいうとおり、この絵の中のゴッホは病み上がりであることを十分に感じさせる。面白いのは、パレットを右手でもっていることだ。「イーゼルを前にした自画像」でのゴッホは、左手でパレットを持っていた。

(1889年9月、キャンバスに油彩、57.0×43.5cm、ニューヨーク、個人蔵)





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