壺齋散人の美術批評 |
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巨人 ゴヤの寓意画 |
「巨人(El coloso)」と呼ばれるこの絵は、一時ゴヤの真筆であることを疑う説も出されたが、今日では一応ゴヤの真筆という合意が確定されていることになっている。「黒い絵」のシリーズとか、版画「戦争の惨禍」と共通する要素が多く指摘され、ゴヤの真筆と考えてよいのではないか。 テーマは、明示されているわけではないが、対ナポレオン戦争の一こまだと思われる。画面下部には混乱状態の群衆が描かれ、その上に、雲の上に巨体をあらわす巨人が描かれている。群衆は、ナポレオン軍の侵攻に逃げ惑うスペインの民衆、巨人はスペインの守護者と考えられる。 巨人は左のこぶしを振り上げ、なにかをにらみつけている。この画面にはあらわれていないが、その視線の先には侵略者がいるのであろう。 「戦争の惨禍」シリーズで描かれたナポレオン戦争の惨状を思い起こさせるタッチである。 (1810年ごろ カンバスに油彩 116×105㎝ マドリード、プラド美術館) |
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