壺齋散人の美術批評 |
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ボルドーの乳売り娘 ゴヤの肖像画 |
1824年6月に、ゴヤはボルドーに移住し、死ぬまでその地にとどまった。一応休暇名目で国王の許可を得ていたが、実際にはフェルディナンド七世による自由主義者の弾圧を逃れるための亡命のようなものだった。その年ゴヤはすでに七十八歳。死ぬのはその四年後である。 「ボルドーの乳売り娘(La Lechera de Burdeos)」と呼ばれるこの絵を描いたのは、死ぬ一年前のこと。最晩年のゴヤは、暗い絵のシリーズにみられるような陰気なテーマばかり描いていたという印象がつよいが、この絵は明るさを感じさせる。光の扱い方が、後の印象派を予想させるほどだ。 働く女のふとした表情を、スナップショット的にとらえたこの絵は、従来の肖像画の枠を超えた、自由な画家の視線を感じさせる。ゴヤの画家としての到達点を示す傑作と評されるにふさわしい。 (1827年 カンバスに油彩 74×68㎝ マドリード、プラド美術館) |
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