壺齋散人の 美術批評 |
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ルヴュ・ブランシュ:ロートレックのポスター |
「ルヴュ・ブランシュ」は、スケートの記事を売り物にした雑誌で、アレクサンドル・ナタンソンが編集していた。そのアレクソンドルの兄弟タデ・ナタンソンの妻が、当時スケートリンクの女王として名をはせていたミシア・ナタンソンだった。このポスターは、ミシアをフィーチャーして雑誌の宣伝を狙ったものだ。 前年には、ピエール・ボナールが、「ルヴュ・ブランシュ」の宣伝ポスターを制作し、その中ではミシアがスケートをしながら手に雑誌を持っている図柄が採用されていた。しかしロートレックのこのポスターには、スケートのイメージも雑誌そのものの露出も見られない。ただ単に、ミシナを売り出しているように見える。 ミシナはポーランド人彫刻家シパ・ゴデプスカの娘だった。自分自身も芸術への関心が高く、自分の家を芸術家たちのサロンとして開放していた。常連客のなかには、クロード・ドビュッシー、アンドレ・ジード、コレットといった人々がおり、ロートレックもその輪に加わっていた。 このポスターで見る限り、ミシナは意思の強さを感じさせる。なお、顔料は、青、赤、黒、グリーン。レタリングの文字の色には、赤と青を混色して使っている。 (1895年 リトグラフ 130×95㎝) |
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