壺齋散人の 美術批評
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夢想:ミュシャの世界




「夢(Rêverie)」と題されたこの作品は、もともと印刷会社シャンプノワの社内向けポスターとして作成されたもの。評判がよかったので、一般向けにも販売された。ミュシャの作品のなかでも最も人気のあるものの一つである。

画面いっぱいに女性の姿を配し、その膝の上に書物のようなものを抱えさせているが、これは印刷見本集である。そのことで、この作品が印刷会社と深い関係にあることがわかる。

女性の頭は例によって花冠で飾られ、衣装にもさまざまな装飾が施されている。アート出版社ならではの、美に配慮した構図である。

女性の背後の円形は、ミュシャおなじみの背景である。その円形の内部にもさまざまな装飾が施される一方、円の外側はシンプルにまとめてある。

(1898年 紙にリトグラフ 72.7×55.2㎝)


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