壺齋散人の 美術批評
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鳩を持った子ども:ピカソ、子どもを描く




鳩を持った子ども(L'enfant au pigeon)は、ピカソ初期の傑作の一つであり、いわゆる「青の時代」の始まりを画す作品である。ピカソが20歳にして描いたこの作品は、ピカソの生涯の画業を暗示させるものを持っていると評されている。豊かな色彩感覚と、単純なフォルムへのこだわりである。この作品においても、単純な構図と大胆な色彩配置がよく見て取れる。

両手で鳩を抱えている子どもは、性別を明示されていないが、雰囲気からして女の子と思われる。ピカソは男女を問わず子どもを描くのが好きで、生涯に夥しい数の子どもを描いたわけだが、これはその最初の傑作と言える作品である。

絵の具が必要以上に厚塗りされていることから、一旦書かれた別の絵を塗りつぶして、上塗りされたものだと考えられている。ピカソはそういう上塗りをするのが得意だった。

この絵は長らくイギリスにおいて保存、展示されてきたが、今年(2013年)財政上の理由からクリスティのオークションにかけられ、カタールの画商が落札したと報道された。今後どのような運命が待ち受けているのか、今の所明らかになっていないという。投機の対象にしたり死蔵したりすることは避けてほしいものだ。

(1901年、キャンバスに油彩、73.0×54.0cm)





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