壺齋散人の 美術批評
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車に乗った子供:ピカソ、子どもを描く




1947年5月、ピカソとフランソワーズ・ジローとの間にクロードが生まれた。ピカソがジローと知り合ったのは1943年5月、ジローは画家志望の女性だった。三年後の夏には二人は一緒に暮らすようになり、そしてクロードが生まれたというわけだった。

クロードが生まれた時、ピカソはすでに60を超えていた。その故か、ピカソのクロードを見るまなざしは、それまでとは大いに異なった。それまでは、他人の子はもとより、自分の子を描く場合にも、父親としてよりは画家としてのまなざしが強く働き、したがって子どもも一人のモデルとして扱われていた。ところがクロードを見る目は、父親そのものの目である。

パウロやマヤが、つんと澄ましてポーズをとっているのに対して、クロードはのびのびと遊んでいる。遊びに夢中になっている我が子の姿を、ピカソは父親らしいやさしいまなざしで描いている。

「車に乗った子供(Enfant dans sa voiture)」と題したこの絵は、三輪車で戯れているクロードを描いたものである。クロードの姿は極端にデフォルメされているが、そのことでかえって、遊びの躍動感が一層強調されているように見える。

(1949年、キャンバスに油彩、100×80cm、個人蔵)





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