壺齋散人の美術批評 |
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ブリオッシュ:シャルダンの静物画 |
シャルダンは、キャリアのスタート時には静物画をよく描いたが、全盛期には風俗画に重点を移し、静物画はあまり手がけなくなった。ところが晩年になると、再び静物画に注力するようになる。シャルダン晩年の静物画は、構図的には非常にシンプルなものになり、色彩の暖かい雰囲気のものが多い。近代美術における静物画の伝統に直接つながるものである。 「ブリオッシュ(La Brioche)」と題したこの作品は、シャルダン晩年の静物画を代表する作品。ブリオッシュとはフランス風の菓子パンのこと。そのブリオッシュを中心にして、いくつかのアイテムが机の上に並んでいる。構図はいたってシンプルであり、また、背景も無地である。その無地で地味な背景から、モチーフが浮かび上がって見えるように工夫されている。 初期の静物画「エイ」と比較すると、構図的にはシンプルである一方、色彩的には多彩になっていることがわかる。 (1763年 カンバスに油彩 47×58㎝ パリ、ルーヴル美術館) |
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