壺齋散人の 美術批評 |
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サーカスのパレード:スーラの点描画 |
「ポーズをする女たち」で、人物画への点描法の適用の可能性を確かめたスーラは、続く大作「サーカスのパレード」において、夜間のサーカスの人物たちを、点描法で描くことに挑戦した。この絵を通じて、明るい野外の風景を表現したことに始まる点描法の可能性が、飛躍的に広がったと言える。 サーカスと言えば、巨大なテントの内部で繰り広げられる屋内イベントとしてのイメージが強いが、スーラがここで描いたサーカスの光景は、夜の屋外のそれである。屋外にしつらえられたステージで、トロンボーン奏者始めサーカスの楽団員が、ガス灯の光に照らし出されながら浮かびあがっている。 夜の野外の光景であるから、遠近感はほとんどない。ただ、光の加減で、明瞭な像を結んだり、ぼんやりと曖昧なまま背景の闇に溶け込んでいる人物像を描いている。それらを見ると、トロンボーン奏者は背後からの光を浴びて浮かび上がっているように見えるし、彼の背後にいる楽団員は、前方からのかすかな光を受けて、曖昧な姿を見せている。(1888年 カンバスに油彩 99.7×149.9㎝ ニューヨーク、メトロポリタン美術館) これは、完成作品に先立って描かれた油絵の習作。基本的な構図は、完成作品とほぼ同じである。黄色をベースとして、その補色である紫を用いて人物を浮かび上がらせる手法を用いている。いかにも理論家スーラらしい習作と言える。(1887年 16.0×26.0㎝ スイス、ピュールレ財団コレクション) |
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