壺齋散人の 美術批評
HOME ブログ本館 | 東京を描く 水彩画 日本の美術 プロフィール 掲示板


ヴィラ・メディチの庭園:ベラスケス




ベラスケスがヴァティカンに住んでいたのはそう長くはなかったようだ。やがてかれはメディチ家の世話になる。そのメディチ家の邸宅は、ヴィラ・メディチといって、スペイン広場の階段を上ったあたりに、いまでもある。その邸宅の庭園を、ベラスケスは二点の絵に描いた。

これはそのうちの一点。通称「クレオパトラのロッジア」という。この絵の正面に、台座の上に臥した女性の石像が見えるが、それがクレオパトラの肖像だというので、ここを「クレオパトラのロッジア」と呼ぶようになったという。

この絵は、もう一点の「グロッタのロッジア」と並んで、風景画として知られてきた。ベラスケス個人にとってのみならず、ヨーロッパの絵画史上でも、意識的に風景を描いた最初の作品とされている。当時風景画は、フランドルを中心にして、絵の新しいジャンルとして認知されつつあった。

この絵の景色は、クレオパトラ像の代わりにヴィーナス像が立っているほかは、現在でもそのまま見られるという。

(1630年頃 カンバスに油彩 44×38㎝ マドリード、プラド美術館)




HOME ベラスケス 次へ









作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011-2021
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである