壺齋散人の 美術批評
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髑髏のある静物(Nature morte au crane):セザンヌの静物画




セザンヌは髑髏のオブジェをいくつか所有していて、それらをモチーフに何点か描いている。「髑髏のある静物(Nature morte au crane)」と題した1900年のこの絵は、その代表的なものだ。

セザンヌ最晩年の、暖色主体の暖かい色遣いのうちに、いくつかの果物と共に髑髏が描かれている。この髑髏の色は本来白であり、他の絵では白く描かれてもいるのだが、この絵の中では、赤っぽい色で塗られている。白は布で代表させて、髑髏の方は、暖かい色で塗りたいと考えたのだろう。

背景は暗色の壁だが、単調に陥ることを避けて、黒い植物の模様や、髑髏やテーブルと同じオレンジ系の色の布を配置するなど、色彩の調和に意を用いている。

それにしてもこの髑髏には、命の余韻のようなぬくもりが感じられはしないだろうか。

(1900年、キャンバスに油彩、54.3×65cm、バーンズ・コレクション)





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