壺齋散人の美術批評 |
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選挙:ドーミエの風刺版画 |
ルイ・フィリップは立憲君主制を標榜し、選挙で選ばれた議会に一定の権限を与えた。しかしその選挙は制限選挙制であり、選挙権を持つのは一部の金持だけだった。全国で85ある選挙区で、1000人以上の選挙権者があるのは27にとどまり、パリが属するもっとも大きな選挙区セーヌ二区でも、3000人に満たなかった。 すくない選挙人を効果的に買収できれば、簡単に代議士になれるとあって、買収が横行した。「選挙(Election)」と題するこの石版画は、そうした選挙の腐敗ぶりを描いたものだ。 右側で三人の男たちに囲まれているのが候補者、左手でその様子を見ているのが選挙立会人、上部にいるのは投票する選挙人である。候補者は人々と握手しながらほくそ笑んでいるが、それは買収が進んでいるからであろう。露骨な金のやり取りは描かれていないが、投票所に候補者が陣取るというのは、尋常普通の選挙ではありえないことだ。 (1843年 リトグラフ 24.0×18.5㎝ シャリヴァリ) |
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