壺齋散人の 美術批評 |
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フィンセントの寝室:炎の画家ゴッホ |
ゴッホは1888年の9月に、既に借りていた「黄色い家」の部屋に移りすみ、そこで本格的な生活を始める。その部屋をゴッホは何枚か描いた。これはその最初のものだ。やがてゴッホはこの部屋にゴーギャンを迎えることになる。 部屋には木製のベッドが据えられ、そこには二人分の枕が用意されている。そのうちの一つはゴーギャンのためのものだろう。しかし二人で寝るにしては、ベッドの大きさが十分だとは思えない。 部屋のなかは、けっこうきちんと片付いている。ゴッホは几帳面な性格だったようだ。 画面の構成はしっかりしており、色彩は明るく仕上がっている。背景になる壁を寒色の青で塗り、ベッドや床を暖色の赤系統で塗っているために、色彩的にも画面に遠近感をもたらしている。 ゴッホは弟宛の手紙のなかでこの絵に触れ、「広い意味での眠りと休息」を表現しようとしたと書いている。この絵を見れば、やすらかな気分になってもらえるだろうと、期待していたわけである。 (1888年10月 カンバスに油彩 72×90cm アムステルダム、国立ゴッホ美術館) |
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