壺齋散人の 美術批評 |
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麦わら帽をかぶった自画像:ゴッホの自画像14 |
「麦わら帽をかぶった自画像」という題を冠した作品のうち三作目となるこの絵は、前の二作とはまた趣を異にしている。というより、完成度が高いと言える。ゴッホ独特のあの筆のタッチが、この絵の中ではより自在に施されており、色彩の配置も調和の深さを感じさせる。その分、絵の印象は落ち着いたものになっている。 前の二作の中でのゴッホは観客(鏡の手前にいる自分自身)の方を見つめていたが、この絵の中のゴッホは別の方角へと目をやっている。ゴッホは時たまこういうふうな表情を描いたが、そこには何かの意図が働いているのだろうか。通常鏡に映った自分自身を描く時には、目は鏡の手前にいる自分を見つめるのが自然だからである。 この絵も、他の絵のキャンバス地の裏地に描かれている。もともとのキャンバスには、ジャガイモの皮をむく女の姿が描かれていた。 (1887年暮~88年初、キャンバスに油彩、41.0×31.5cm、ニューヨーク、メトロポリタン美術館) |
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