壺齋散人の 美術批評
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二人の兄弟:ピカソ、子どもを描く




1906年5月、ピカソは恋人のフェルナンドとともにバルセロナに戻った。フェルナンドによれば、久しぶりにスペインに戻ったピカソは生気を取り戻したかのように、確信に満ちた日々を送ったらしい。この時期にピカソは、バラ色の時代の様式を徐々に脱却し、新たな様式への転換を図った。その転換期を代表する作品が、この「二人の兄弟(Les deux frères)」である。

この作品は、ピレネー山脈の南にある小さな村ゴソルに滞在中描いたものといわれる。バラの時代の作品との連続性を感じさせないでもないが、赤褐色で表現された色彩は、新しいものである。

なお、この絵には先行するモデルが詮索されることもあるが、基本的にはゴソルの村の日常的な光景の一部を切り取ったものだと考えることが出来る。

(1906年、カードボードにグアッシュ、80.0×59.0cm、パリ、ピカソ美術館)





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