壺齋散人の美術批評
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レオナルド・ダ・ヴィンチ頌:ルドンの幻想風絵画




レオナルド・ダ・ヴィンチは、いまでこそ世界絵画史上の巨匠ということになっているが、その評価が確立したのは20世紀のことである。そうしたダ・ヴィンチ評価の動きに、ルドンも深くかかわっていた。「レオナルド・ダ・ヴィンチ頌(Hommage à Leonardo da Vinci)」と題されたこの作品は、そんなルドンのダ・ヴィンチへの敬愛を表現したものである。

二次元の画面に、三次元的な立体感を演出しようとする意図が働いているように見える。その立体感は、色のもつ特性を生かすことで達成されている。背景には寒色を使い、前景には暖色を使って奥行きを表現しながら、明暗対比や遠近法を駆使して立体感を演出しているのがわかる。

構図には、幻想的な雰囲気が感じられる。その雰囲気を色の使い方で強化している。左手の女性は、マグダラのマリアを意識しているといわれる。そのマリアは、巨大なシャボン玉のような球体の内部に収まってるようにみえる。子宮のイメージだろうか。

(1910年 板にパステル 116×50㎝ アムステルダム、市立美術館)



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