壺齋散人の美術批評
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仏陀:ルドンの幻想風絵画




ルドンは仏陀に強い関心を持っていたようで、仏陀をモチーフにした作品を結構作っている。いづれも仏陀の精神性を表現したもので、カラフルな色彩のなかに、静かな瞑想のような雰囲気を漂わせている。

この作品は、大きな木の脇にたっている仏陀を表現したもの。大きな木は宇宙樹あるいは世界樹というべきもので、世界の中軸となるものである。その脇に立つ仏陀はだから、世界の中心にいることになる。その仏陀は、色鮮やかな衣装をまとい、右手には杖をもち、左手で印を結んだ姿であらわされている。

背景は、ルドンの特徴である、輪郭のはっきりしないあいまいな色彩の形象をカラフルに表現し、それとの対比でモチーフが明瞭に浮かび上がるように描かれている。この絵のモチーフは二つ、仏陀と世界樹なので、その両者がはっきりと描かれている。

(1905年頃 厚紙にパステル 90×73㎝ パリ、オルセー美術館)



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