壺齋散人の美術批評
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ポール・ゴーギャン:ルドンの肖像画




ルドンがポール・ゴーギャンと出会ったのは、1886年の第八回印象派展の会場であったらしい。八歳年下のゴーギャンのほうから、ルドンに敬意を表して接近したといわれる。ゴーギャンはルドンの画風に強くひかれ、その幻想的な雰囲気とか、豊かな色彩に影響されたようである。

この絵は、1903年にタヒチからゴーギャンの死が知らされた直後に制作されはじめた。完成したのは1905年頃のことである。

一応ゴーギャンの肖像画であるが、普通の肖像画とはかなり違っている。横顔を見せているのはともかく、ゴーギャン本人の顔は暗く描かれ、輪郭も明瞭ではない。モチーフであるゴーギャンよりも、かれの周囲をとりまくオブジェのほうが強調されている。とくに花は強烈なイメージを感じさせる。花のイメージはルドン自身も好んだものだったが、ゴーギャンもまた愛した。

(1905年頃 カンバスに油彩 66.0×54.5㎝ パリ、オルセー美術館)



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