壺齋散人の美術批評 |
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花の中のオフェリア:ルドンの幻想風絵画 |
ルドンは、シェイクスピア劇の有名なキャラクター、オフェリアをモチーフにした作品をいくつか作っている。その中には、水に浮かんで流される、よく知られたイメージのものもある。「花の中のオフェリア(Ophelia parmi les fleurs)」と題されたこの絵は、花の中というよりは、花を前にしてそれを見上げる姿のオフェリアを描いたものだ。 この絵はもともと、テーブルの上に据えられた花として描かれた。それを、一部を塗りつぶして、新たにオフェリアを描き加えたことがわかっている。ルドンは、制作姿勢として、初めから完成した姿を予想して、それを実現させるというのではなく、筆の勢いにまかせて、アトランダムに描きすすめるというやり方をよくとったということだ。 この絵の場合には、花を描いているうちに、オフェリアのイメージが浮かんできて、そのイメージを当初の花のイメージに結びつけたということらしい。オフェリアの姿は曖昧な輪郭で描かれており、まるで夢の中にいるようである。 (1908年頃 厚紙にパステル 64×91㎝ ロンドン、ナショナル・ギャラリー) |
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