壺齋散人の美術批評
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アポロンの馬車:ルドンの幻想風絵画




アポロンは、ギリシャ神話の太陽神である。太陽が東の空から出て天空を移動し、やがて西の空に沈んでいく様子を、ギリシャ神話では、アポロンが四頭立ての馬車に乗って天空を駆けるイメージで表現した。「アポロンの馬車(Le char d' Apollon)」と題されたこの作品は、そうしたギリシャ神話のイメージをあらわしたものである。

ルドンは、このモチーフが気に入っていて、ほかに何点も手掛けている。馬を描くのが好きだったという事情もあるらしい。馬を単独に描いた「ペガサス」のような作品もある。

アポロンを乗せた車を、四頭の馬が引き、天空を駆ける場面である。四頭の馬たちはそれぞれ躍動感に満ち溢れている。その馬たちに向かってアポロンは叱咤激励しているように見える。太陽神というよりは、戦士のイメージである。

ほとんど同じ構図の絵に「アポロンの馬車と竜」がある。両者を比べると、こちらが暖色主体なのに対して、もう一方は寒色主体である。

(1910年頃 カンバスに油彩 100×70㎝ ボルドー美術館)



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