壺齋散人の美術批評
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蝶:ルドンの幻想風絵画




ルドンは、晩年には花を好んで描く一方、蝶をモチーフにした作品を多く手掛けた。その大部分は、沢山の蝶が思い思いに飛び回っている様子を描いたものだ。この作品は、その代表的なもの。露出した岩肌の上を、大小さまざまの種類の蝶が飛び回るところを捉えた。


とはいえ、写実的な工夫はあまりみられず、蝶の姿はけっこうデフォルメされている。ルドンの関心は、蝶の形態的な美しさではなく、精神的な雰囲気に傾いていたようだ。

ということは、蝶は、それ自体の存在感によってではなく、精神的な雰囲気への導き手として、あるいは瞑想をさそうきっかけとして受け取られているようである。ともあれ、色彩の鮮やかさと華やかさが印象的な絵である。

(1910年 カンバスに油彩 54.9×73.9㎝ ニューヨーク、現代美術館)



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