壺齋散人の美術批評 |
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ルッジェーロとアンジェリカ:ルドンの幻想風絵画 |
「ルッジェーロとアンジェリカ(Roger et Angélique)」と題されたこの作品は、イタリア16世紀の詩人アリオストの叙事詩「狂えるオルランド」に取材したもの。原作はまったく架空の話である。ルッジェーロとアンジェリカにかかわる話は、その一部。異国(キタイ=中国)の姫アンジェリカが、海の怪物のいけにえとなり、とらわれようとするところを、姫に思いをよせる青年ルッジェーロが、鷲の頭をもった馬にまたがり、怪物を退治するという内容。 絵は、そのルッジェーロが馬にまたがり、怪物を襲うところを描く。ルッジェーロは画面左手に描かれ、両手に長槍をかかえて、下にいる怪物めがけて攻撃しようとしている。怪物は誇大な波に乗っているように見え、その並の合間からまばゆい光線が発している。 画面右手には、裸体で岩にしばりつけられたアンジェリカが、悶えながら助けを待っている。 ブルーを基調とした背景は、海の暗黒を象徴しているようである。全体に輪郭の曖昧な混沌さをただよわせ、幻想的な雰囲気を醸し出している。 (1910年 紙にパステル 92.7×73.0㎝ ニューヨーク、近代美術館) |
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