壺齋散人の美術批評
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長首の花瓶にさした野の花:ルドンの静物画




晩年のルドンは、花をモチーフにした静物画を多く描いた。花瓶にさした花の絵が多い。「長首の花瓶にさした野の花(Bouquet de fleurs des champs dans un vase à long col)」と題されたこの絵は、そうした静物画の一つ。

タイトルにあるとおり、ひょろ長い花瓶に野の花がいけられている。この花瓶は、他の絵にも出てくるので、ルドンのお気に入りだったのであろう。その花瓶の周囲をことさらに暗く塗り、花瓶を浮かび上がらせる効果を狙っているが、やや、どぎつさを感じる人がいるかもしれない。

花は野原から摘んできたものか。赤いのはポピー、青紫のはラベンダーか。そうだとすれば、夏の野に咲いた花ということになる。白いのは、カスミソウだろうか。

(1912年頃 紙にパステル 57×35㎝ パリ、オルセー美術館)



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