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聖セバスエィアヌス:ルドンの幻想風絵画




聖セバスティアヌスは、三世紀のローマ時代の殉教者。事績は「黄金伝説」の中で紹介されている。それによれが、聖セバスティアヌスは、ほかの人々の信仰を励ました罪で、木にしばりつけられ、人々が矢をうつにまかせたと言われる。

宗教画の題材として人気があり、ルドンは複数手掛けている。これ「聖セバスエィアヌス(Saint Sébastien)」は、その一つ。木に縛り付けられた姿で描かれており、胸や脚に矢が突き刺さっている。だが、苦悩の表情はなく、かえって穏やかな顔をしている。

これは、聖セバスティアヌスに焦点をあてたものというより、ルドン得意のパンドラやオフェリアのイメージを、男性のイメージに転換させたものだとする見方もある。

(1912年 カンバスに油彩 144.0×62.8㎝ ワシントン、ナショナル・ギャラリー)



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