壺齋散人の美術批評 |
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オルペウス:ルドンの幻想風絵画 |
オルペウスは、ギリシャ神話に登場するキャラクター。竪琴をひきながら詠う吟遊詩人とされる。死んだ妻エウリュディケーを慕って冥界へ下ったという話が有名である。冥界に死んだ妻を訪ねる話は日本の神話にもある。どちらも、冥界の王との約束をやぶり、地上に出る前に妻を振り返ったために、妻を取り戻すことができなかったという共通点がある。 オルペウスにはまた、ディオニュソスを礼拝しなかったことで怒りをかい、ディオニュソスにそそのかされたマイナイたちに殺されたという話もある。マイナイたちは殺したオルペウスの頭を切り落とし、ヘブロス川に投げ込んだ。そのことからオルペウスは、ヨハネの首とともに、はねられた首のシンボルとして、西洋美術の格好のモチーフとなってきた。 ルドンは、そのオルペウスをモチーフにした絵を二点描いている。これ「オルペウス(Orphée)」はそのうちの一つ。竪琴の横に並んだオルペウスの首が描かれている。別の作品では血のイメージが表現されていたが、この作品では、血のイメージは感じられず、瞑想的な雰囲気がただよっている。背景として山のようなものが見えるが、これは首が流れついたというレスボス島をイメージしているのだろうか。 (1913年頃 厚紙にパステル 67.5×54.5㎝ クリーヴランド美術館) |
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