壺齋散人の美術批評
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中国の花瓶にさした花:ルドンの静物画




「中国の花瓶にさした花(Bouquet de fleurs dans un vase chinois)」と題されたこの絵は、タイトルにあるとおり中国製の磁気の花瓶にいけられた花をモチーフにしたもの。白磁の光沢のある肌が、深紅の背景から浮かび上がり、その上に花々が押し重なるようにして広がっている。晩年のルドンの一連の静物画の中の傑作というべきものである。

ルドンの妻カミーユは、花をいけるのが好きで、多くの花瓶をもっていたという。ルドンはそのなかで、この白磁の花瓶が気に入り、静物画のモチーフとして好んで描いた。ふつう、花瓶は添え物だが、この絵の中の花瓶は、花に劣らぬ存在感をかもしだしている。

一方、花のほうは、野の花があったり、鑑賞用の花があったり、にぎやかである。緑の葉の部分が多いのが、この絵の特徴というべきか。鳥のような形をした葉も見える。

(1914年頃 カンバスに油彩 64.8×49.8㎝ ニューヨーク、メトロポリタン美術館) 



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