壺齋散人の 美術批評 |
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干し草の収穫:ブリューゲルの世界 |
この絵「干し草の収穫」は月歴画連作のうちの7月を描いたものだとされる。背景には雄大な自然がのびのびと描かれ、その手前に広がった牧草地では干し草の収穫が行われている。収穫に励む人々は、みな風景の中に溶け込んでいる。 それとは対照的に、前景では人々の表情が生き生きと描かれている。三人の若い女性たちはこれから干し草狩りの労働に赴くのであろう。真ん中の女性はこちらを向いて、手前で絵を見ている人に微笑みかけているかのようだ。 右手には、野菜や果物の入った駕籠を頭にのせて歩いている人々の集団が描かれている。彼らはみな、バランスを取るために体をリズムカルに動かしている。左手前には大きな三日月形の鎌を研いでいる農夫が描かれている。 総じてこの絵からは、労働の息吹が生き生きと伝わってくるようだ。 (1565年頃、板に油彩、114×158cm、プラハ・ナロードニー・ギャラリ) |
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