壺齋散人の 美術批評
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野外の農民の婚礼の踊り:ブリューゲルの世界




この絵は、「農民の踊り」、「農民の結婚式」の二部作より以前の1566年に描かれた。画面いっぱいに大勢の人物を配置し、それぞれに躍動感をもたせている。農民への愛情といい、豊かな色彩感といい、ブリューゲルの代表作というに相応しい作品だ。

この絵が結婚式の光景だということは、画面奥に張られた黒い布に、花嫁のしるしである冠が飾られている事でわかる。恐らく、これから披露宴が始まるのだろう。人々が、長テーブルを据えて、宴会の準備に取り掛かっている。

披露宴を待ちきれない人々が、結婚を祝して踊りを始めた。男たちはブラゲットをつけ、おんなたちは前掛け姿に姉さんかぶりの格好だ。彼女たちは男たちの突き出した陽物のシンボルを、恥ずかしがらずに受け止めている。

肝心の花嫁と花婿がどこにいるのか、画面からは手掛かりは得られない。結婚をだしにしてお祭り騒ぎをするのが、一番肝心なことだとでもいうかのように。

(1566年、板に油彩、119×157cm、ウィーン美術館)





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