壺齋散人の美術批評
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マヌエル・オソーリオ・マンリケ・デ・スニガ ゴヤの肖像画




「マヌエル・オソーリオ・マンリケ・デ・スニガ(Manuel Osorio Manrique de Zuñiga)」と題したこの肖像画は、男の子の肖像画としては、ピカソの作品「ピエロに扮したパウロ」と並んで、美術史上最も有名なものである。モデルの少年は、スぺインの大銀行サン・カルロス銀行の理事であり、財力に物を言わせてゴヤを雇い、家族の肖像画を数点制作させた。マヌエルは彼の末子であり、この時三歳か四歳の子供だった。

一見女の子と見まがうほどやさしい表情をしている。白襟のついた赤い衣装を着て、銀色の腰巻を帯代わりにしている。靴も銀色である。カササギをペットにしていて、紐を結んで逃げないようにしている。そのカササギを猫が注視しているが、飼い主のマヌエルは無頓着な表情である。

画面右手、つまりマヌエルの左足元には、フィンチを入れた籠が置かれている。フィンチは、カササギより小さくて、色合いも派手な小鳥である。この男の子は、鳥が好きなのであろう。

光の配分に工夫を加えることで、男の子のシルエットが浮かび上がって見える。なお、かささぎが咥えている名刺には、無論ゴヤの名が書かれている。

(1788年 カンヴァスに油彩 110×80㎝ ニューヨーク、メトロポリタン美術館)



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