壺齋散人の美術批評
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アルバ公爵夫人:ゴヤの肖像画




アルバ公爵夫人は、美貌で知られていたという。1796年に夫のホセが死んだので、彼女はアンダルシアの別荘で一年間喪に服した。その折にゴヤは夫人に随行し、彼女の肖像画を何点か制作した。夫人の希望によるものである。この作品は、その一部。

この時、夫人は35歳で、まだ美しい盛りだった。黒い服に身を包んでいるが、これは喪に服しているからである。右手で地面の一点を指さしている。その先にはSOLO GOYAという文字があるという(画面からはよくわからない)。また二本の指にはめられた指輪には、それぞれゴヤ、アルバという文字が彫られているという。

夫人は、喪服に身を包んでいるとはいえ、粋な雰囲気を漂わせている。スペインでは、粋な女性をマハと呼ぶそうである。この肖像画の中のアルバ夫人は、マハの一つの典型だと言われている。

(1797年 カンバスに油彩 210×148㎝ ニューヨーク、ヒスパニック・ソサエティ)



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