壺齋散人の美術批評
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裸のマハ ゴヤの裸体画




裸のマハ(La maja desnuda)と呼ばれるこの絵は、ゴヤの最高傑作のひとつである。ゴヤはこの絵を、時の宰相マヌエル・デ・ゴドイの求めに応じて制作した。ゴドイにはポルノ趣味があって、女のヌードを描いた作品のコレクションを、自宅の一部屋で飾っていたそうである。

マハとは前述したように粋な女という意味で、固有名詞ではない。画面の女も自立したイメージを与え、それが彼女に粋な雰囲気を漂わせている。すくなくとも娼婦のようなイメージではない。ご覧のとおり、眼はきりっとこちらを見つめているし、旨をはって意気揚々たる印象を与える。

しかし、同時代のスペインは、これを猥褻な作品とみなした。とりわけ陰毛が猥褻だとされた。絵画の中で女性の陰毛を表現したのは、ゴヤのこの作品が歴史上最初のものだったのである。

そんなわけでゴヤは、1815年に取り調べをうけ、宮廷画家としての資格を剥奪された。なお、モデルははっきりとわかっていないが、ゴドイの妾ペピータ・トゥドではないかと推測されている。

(1800年頃 カンバスに油彩 97×190㎝ マドリード、プラド美術館)



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