壺齋散人の 美術批評 |
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エルドラドのアリスティード・ブリュアン:ロートレックのポスター |
ロートレックは、アンバサドゥールに続いてエルドラドのために同じようなポスターを作った。これについても面白い逸話がある。エルドラドは、ストラスブール街にあったカフェだが、そこの経営者にブリュアンが掛け合い、アンバサドゥールでの成功を再現すべく、ロートレックにポスター制作の依頼をすることを承知させた。ところがエルドラドの経営者はケチで、印刷実費に相当する金額しか出さなかった。そこで侮辱されたと感じたロートレックは、デザインに手を抜くこととした。アンバサドゥールに使ったデザインを、180度ひっくりかえしただけでそのまま使ったのだ。 だが、それはかえってポスターへの注目に拍車をかけることとなり、このポスターも大人気を博した。そのおかげでアンバサドゥールもエルドラドも大もうけをしたほか、アリスティード・ブリュアンも大人気を博することとなり、ポスター芸術家としてのロートレックの名声も大いに上がった。 アンバサドゥールとエルドラドのポスターを熟視すると、単にひっくり返っているだけではなく、多少の相違も認められる。マフラーの線の描き方とか、背後のシルエットなどだ。 顔料は、オリーヴ・グリーン、黄色、赤、青、黒の五色を使い、すっきりとした色彩感に仕上げている。 (1892年 リトグラフ 150×100㎝) |
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