壺齋散人の 美術批評 |
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狂った牝牛:ロートレックのポスター |
「狂った牝牛(La vache enragée)は、アドルフ・ヴィレットが1896年に刊行したイラスト入りの月間風刺雑誌。「狂った牝牛を食う(manger la vache enragée)には、世の中を笑い飛ばすという意味もあるので、風刺雑誌にこう命名したという。その雑誌には当時の人気漫画家であるアドルフ・ローデルが編集者として加わっていた。 このポスターは、雑誌の創刊を宣伝するために依頼された。ロートレックは、雑誌の名にふさわしいように、狂った牝牛を中心にして図柄を考案した。 狂って暴れまわる牝牛に傘を持った男が追いかけられている。この男は牝牛を食おうとして反撃されたに違いない。牝牛の横にはサーカスの道化が二人自転車に乗って付き従い、牝牛の後ろからは警官が追いかけてくる。この警官は牝牛を取り押さえられるほどの腕力を持っているように思えない。 ご丁寧にコックまで付け加えている。いつでもお役にたちますと言っているようだ。顔料は、ダークブルー、シアン、赤、黄色、黒の五色を用い、全体に軽快な印象に仕上げている。 (1896年 リトグラフ 83×60㎝) |
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