壺齋散人の 美術批評
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人間嫌い:ブリューゲルの世界




黒い修道服を着た男の背後にみすぼらしいなりをした男の子が忍び寄って、男の財布をかすめ取ろうとしている。男の子が入っているガラスの地球儀は人間の略奪を表しているという。画面の下部にはフランドル語で「世界が不実であるゆえに、私は喪に服す」と書かれている。

この絵が何を訴えようとしているのか、筆者などにはよくはわからないが、いくら人間を嫌って人との交わりを避けようとしても、他の人間から罠を仕掛けられるのが関の山だということだろうか。

背景に描かれている羊飼いは、一心不乱に仕事にいそしんでいる。人間を避ける要理は自分の仕事に没頭する方がずっと前向きだ、そうかたっているようでもある。

(1568年、カンヴァスにテンペラ、86×85cm、ナポリ国立美術館)





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