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ドメニコ・ギルランダイオ:ルネサンス美術




ドメニコ・ギルランダイオ(Domenico Ghirlandaio 1449-1494)はミケランジェロが最初に師事した画家として知られている。当時の多くの画家同様、ギルランダイオとはあだ名で、花飾りという意味。父親のトマーゾが花模様の髪飾りを作っていたことから名づけられた。本名はドメニコ・ビゴルディという。

父親は、ドメニコに家業の金細工師になることを願ったが、ドメニコは絵の才能があったこともあり、画家になることを選んだ。最初アレッソ・パルドヴィネッティのもとで、後にアンドレア・デル・ヴェロッキオのもとで修業。しかしながら、なかなか独り立ちできず、35歳のときにやっと父親から独立して一人前の画家となることができた。

ギルランダイオの最初で最大の仕事は、フィレンツェのサンタ・マリア・デラ・ノヴェッラ大聖堂の内陣の壁画群である。これは、フィレンツェの有力者トルナブオーニ家の依頼によるもので、聖母マリアの生涯をテーマにしたものだ。

上は、「マリアの誕生」で、この壁画群のなかで最も有名なもの。マリアの両親にはなかなか子供が出来なかったが、父ヨアキムが荒れ野で断食して子どもをさずかるよう神に祈り、しかもその生まれた子を神に差し上げることを誓ったところ、神は彼の気持を良しとしたまい、母アンナに受胎させた。そうして生まれたのがマリアである。

絵では、生まれたばかりのマリアが産婆に抱えられ、産湯につかろうとする場面を描いている。そのまわりには大勢の女たちが見守り、母親アンナは右手のベッドの上に腰かけている。(1485頃 フレスコ画 フィレンツェ、サンタ・マリア・デラ・ノヴェッラ聖堂)



サンタ・マリア・デラ・ノヴェッラの聖堂内陣には、マリアの壁画のほかに、もっと目立つ場所に五人の女性の肖像画が描かれている。これらの女性はいずれも、トルナブオーニ家の婦人たちで、依頼主の特別の注文に応じたものである。これはそのうちの一点、「ジョヴァンナ・トルナブオーニの肖像」。横向きの夫人が、エレガントな雰囲気に囲まれて、知的な表情を見せている。(1488年 テンペラ 77×49㎝ スペイン、ティッセン=ボルネミッサ美術館)



これは、フィレンツェのオニサンティ教会にある壁画「書斎の聖ヒエロニムス」。ボッティチェッリの「聖アウグスティウス」と双璧をなすことで有名な作品。(1484年 フレスコ画 184×119㎝ オニサンティ教会)





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