壺齋散人の 美術批評
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嫉妬:ブリューゲル「七つの大罪シリーズ」




中央の女性が右手に持っているのは心臓、これは嫉妬を表すしぐさだ、女性の前には二匹の犬が1本の骨を奪い合っている、ひとつしかないものを互いに争うという意味だ、ブリューゲルは油彩画「ネーデルラントの諺」のなかでも黒白二匹の犬が骨を奪い合うところを描いている。

筆者にはよく解しかねるところもあるが、画面には人が他人の幸運を妬みあうシーンが多くちりばめられているという。

川の上に建てられた一段と高い礼拝堂では身分の高いものの葬儀が行われている。その川では小舟が沈んでいるが、これは他人の豪勢さを妬んだ罰かもしれない。礼拝堂を覆っている巨大な屋根のようなものは、人間の表情をしているように見えるが、それは口から煙を吐いている。嫉妬の感情と何か関連があるのかもしれない。

この建物の上に向かって、人に背負われたものが梯子を上っていくが、それを背後から弓で射ようとする者がいる。その男がいるのは、敗れた卵の中だ。ブリューゲルが好んで取り上げるモチーフである。

画面の中に靴がたくさんでてくるが、靴は当時身分の高下を表す象徴でもあった。他人の豊かさを妬むものが、せめて長いブーツをはくことで、鬱憤を晴らそうとするところを描いていると解釈される。

この絵の中にも、左手の船に座って尻から排泄している男や、体を曲げて自分の尻を覗いている男など、ナンセンスなイメージが描かれている





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